臭う楽器を弾くか臭わない楽器を弾くか?臭う人か臭わない人か?

楽器音楽とニオイ

 

いきなり何のこっちゃってな今回のテーマ。

 

何となくってイメージを挙げるとすれば、

 

「国産か?USAか?」

 

たぶん簡単な感覚。「あ~そういうことね」となるはず。

 

何でしょう?「おぉ!ロックだねぇ!」「イぇい!ファンキー!」「う~んジャズだ・・!」みたいに強力に連想させる、納得させられる、そんな音が存在する事実。加えるなら土地柄、民族性みたいなものまで音には宿るってのが奥深い。ジャズベとかで言えば「お!ニューヨークな音!」みたいなのがありますよね。

 

アメリカ旅行の際の経験、車内で聴いたラジオのハマりっぷりったらなかったです。「あぁ!この曲、この国この土地から生まれたんだ!」みたいな感覚が凄かった。知ってたはずの曲がまた別のものに聴こえた衝撃。

 

土地や国に限らずドラマや映画、アニメやゲームの音楽で考えてもピンと来るものがあるはず。我々の世代で言えば「ファミコンの音だ!」と興奮する何かが絶対にある。

 

自分が持ってるベースの中でそんな特有の『臭い』ってやつを放つ楽器を挙げるとしたらフェンダーアメプロのプレベ。友人からの借り物ですがこいつが実に面白い。ジラウドのメビウスPB、ヒストリーのミディアムスケールとプレベが三本ある中、明らかに何か臭いが違う。トーンを絞ったり強めのタッチで弾くと思わずニヤリとしちゃいます。

 

「フェンダーだ!」

 

よく分からない謎の説得力、他じゃ出せない魅力、全然完璧じゃないのに思わずうなずいてしまうサウンド。四の五の言わず楽しめてしまう気持ちよさ、ナイスな心地よさ、ケチつけるだけ野暮な気がしてしまうのが何ともずるい楽器。

 

と言いつつこのアメプロは恐らくUSA臭が薄い仕様とコンセプト。ネックは明らかに細めにしてあるし重量バランスも良い。PUから何から扱いやすさに気を使って作っていることが感じられます。豪快一直線ではなくむしろ日本的ですらある?その辺りの賛否が分かれる可能性はありそう。

 

その賛否ってのがポイント。それこそが『臭い』を求めている証明、不思議な領域にある感覚なんじゃないかと。古いソウル・ファンクなサウンドとニュアンスが欲しいと来たら即イメージするのは古いプレベ。これ以上に該当する楽器があるのだろうかってレベルでプンプン臭ってくるかもしれません。それそのままをアメプロに求めるのはちと酷な印象。

 

ソウル・ファンクと言ったら絶対に名が挙がってくるジェームスジェマーソン。この人の逸話で面白かったのは楽器をほとんど掃除しないこと、弦をまったくと言ってよいほど交換しないこと。汗も汚れも全てが俺の音になる、これこそがファンクを生み出すんだと徹底的にこだわったとか。それこそ家族にすら自分のベースには触れさせないなどそれぐらいのレベルだったそうな。

 

ここまで来ると違う意味でも臭ってきそうですが、でも本当、それぐらい『臭い』ってやつは音に宿るものだと感じます。レリック仕様なんてものが世の中にはありますが、あれも見た目以上に何かそういった臭いを求めている側面がありそうです。

 

そんな『臭う楽器』『臭うプレイヤー』が弾くとさらに半端じゃないことになる。加えてバンドも観客も臭ってくるともう凄い。「これぞソウル!これぞファンク!」って臭いを出すのに苦心するのってやっぱり分かりますよね。表面だけコピーとか一朝一夕でどうにかなるものじゃない。

 

これまた例を挙げるならこの超名盤、ダニーハサウェイのライブ。有名も有名、実に多くの人が理想として掲げるぐらいなだけに知らない方は必聴。それだけ『臭ってる』アルバム、ソウル・ファンクベースを知るならこれだろと挙げたい一枚。このアルバムにおけるウィリーウィークスのベースはもはや伝説!

 

ライヴ

 

一方、あまり臭いすぎるのも困る、もっとさらっとあっさりさせたいとなるのも必然と言えば必然。ジェマーソンなんかはその辺りを拒絶、どこまでも自分のサウンドを貫いたみたいですが、それで仕事が激減したり時代遅れな存在と置いていかれてしまったのも否定できなそう。素行に問題があったのが大きな原因だとしても、絶対の一本に固執、乗り換えなかったことも理由として挙げられるでしょう。

 

それを格好いいと憧れるか愚かと見るかは人それぞれ。個人的には凄く憧れる姿勢ではありますが、音楽によって人生が壊れてしまったり絶望の中で生涯を終えるのはどうなんだろうと疑問を抱いてしまうのも確か。そのこだわりこそが唯一無二の臭いを生むのか、その臭いによって拒絶と破滅が訪れてしまうのか、何とも考えさせられるものがあります。

 

本線のような脱線のような流れですが、いずれにせよこの『臭い』を身に付けるかどうか、そういう楽器を選ぶかどうか、これは非常に大きなポイントなんじゃないかと思いますね。

 

「あの音を出したい!」とか「この音が理想なんだ!」と夢見ているのに、それとはまったく違う方向性のものを手にしてしまうのは致命的な可能性すらある。その決定打になるものが『臭い』だとしたら、まったく臭わない楽器を選ぶのは一つの悲劇。弾き手自身がプンプン臭ってこそだと言うのは分かります。ただ、それを生み出すキッカケすら作れない、そのまま苦悩し続けるのも大きな疑問。

 

たとえば自分の経験的に悲しかったのはアップライトベース。「エレクトリックベースでもジャズの4ビートを上手くやるんだ!」と意気込んでたものの、これって本当に難しい。ちょっとやそっとの工夫じゃそれらしさが出ない。なかなかその気になれる音にもグルーブにもならない。半端な道のりじゃないと痛感しました。

 

そこで「試しに本物に触れてみるか」と弾いてみたら唖然。欲しい音がそのまんま出てきて逆に困惑。絶望と言うべきか?希望を見い出したと言うべきか?

 

「素直が一番!」

 

それ欲しいならそれ弾くのが早いと納得した次第。

 

まぁ、そうは言っても簡単に弾けるようになる楽器のわけはないんですが、だからと恐れず拒まず実際に触れてみる価値は計り知れません。「どうやっても理想にならない・・」と苦心してるなら道具を見直してみることは大切。根本的に選択を誤っている、理想に適さない道具で必死こくのは単純に辛い。意固地で好奇心や可能性をころしてしまう姿勢も疑問。

 

その苦労があるからこそ独自の工夫、真似できないオリジナリティが生まれるってのも分かるけれど、試行錯誤なんて良いもんじゃなくトンチンカンな作業を継続、それって正直あんまり楽しいもんじゃないですよね。素直にアップライト弾いてみた結果、そこで得た技やニュアンスがエレクトリックベースの方にも活かせるようになったり、今まで得られなかったヒントにもなったり、意地張って避けてたのが悲しくなる事例でした。

 

臭いがしないもので必死に臭いを出そうとするのも素晴らしい努力と道だと思う一方、素直にプンプン臭ってる道具を使っちゃった方が楽しく健全だとも実感。その結果、自分もだんだんと臭ってくる、相乗効果で特化していく可能性が高まる、何かオーラのような雰囲気も身に付いていくものかもしれません。

 

よく分からないような、実は誰でも分かるような、そんな不思議な『臭い』って存在。この話を聞いてまったく意味不明に感じた場合、音楽とは異なる世界をイメージしてみるのがおすすめ。

 

「鶏ガラスープとゴマ油で中華っぽくなる!」とか「国産車は真面目でつまらない!やっぱ外車だぜ!」みたいなノリで捉えるのも有り。「カップラーメン最高!ポテチ至高!ジャンク最強!」なんてのでもよし。健康的な食事では出せない強烈な魅力が存在するのも間違いないし否定もできないでしょう。これは音楽でも楽器でも同じことが言えそうです。明るい優等生、真っ黒な不良、深淵のオタク、いずれにも道がある。

 

「これロックだわ!」「ファンクだぜ!」「ジャズや!」こういう雰囲気や感覚ってやっぱり存在するもの。そこに特化するか臭わせるかはともかく、何がそれを生み出しているのかと研究したり理解すると深みが出るはず。

 

最後にちょっと自分語り、不思議になること。プンプン臭うベースに強く憧れたり、実際に弾くのも聴くのも好きな一方、それをメインに選ぶことはないだろうな~と距離を置いてしまったりします。自分自身にそんな強烈な臭いがないことも自覚。それを無理に出そうとするのは違うし、そもそも出せないだろうと諦めもあるのが本音。

 

強烈な個性、揺るがない一本道、隠しきれないオーラなど、そういうのが身に付きそうにないのはちと悔しいですが、ただまぁ、それはそれで色々遊べて楽しいかなって良い方向に考えるようになりました。「オールラウンドな楽器が一本あればそれでいいんだ!」なんて鼻息荒くしたこともあるけれど、

 

「そもそも人間的にオールラウンドじゃなかった!」

 

これに気付いたのは大きい。

 

嘘付いて万能人間なんか目指すだけ無駄。臭いがしないのをべつにコンプレックスに感じる必要もない。無理に臭わせようとせんでもいい。弾きたい楽器があるならそれ弾いちゃうのが一番。やりたいことがあるなら素直にやっちゃえばいい。得意じゃないことを寿命縮める思いまでしてやんなくてもよい。無いものねだりで変な楽器選びする必要もない。

 

「好きなもん弾け」

 

これを結論とした上で自分が理想とする欲しい臭いを述べるとしたら、

 

『ベースの人』

 

こいつは確実に臭っててほしいですね。それがありゃよし!

 

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