お別れとは言いたくない

Jiraud Bass Center

 

※11/22筆

 

信じたくない訃報。福田郁次郎さんが永眠されたとの連絡を受けました。この一年か二年、糖尿と癌との闘病生活(ジラウドさんのNotePadの方でも確認できます)を続けていたことは知っていたけれど、まさかこんなに早く逝ってしまわれるとは想像せず。今年の二月にもお会いしてますし、ライブもやっていたり順調に回復しているのだとばかり思っていました。

 

正直に言って悲しいを通り越してます。もはや憤りすら込み上げて来るものがある。不謹慎だろうと本音。なぜもっとご自愛してくれなかったのか、あまりに命をかけすぎだったんじゃないか、もう少し何とかできたんじゃないかと悔しくてならない。

 

Dr.Simプリアンプ製造の壮絶さと言ったらありませんでした。夢の中でもずっと設計製造を繰り返していた、もう現実か幻か分からない、ろくに眠れず夢と現の両方で頭を抱える毎日を過ごしたと聞かされてます。入院の合間にも工房に戻ればひたすら製造。文字通り命を削っての作業。尋常ではない想いに圧倒された次第。

 

新製品が数多く登場してきたジラウド。模倣に留まらず常に新しい何かを作っている様にワクワク胸躍ってきた20年。ただ、それが無責任な期待を生んでいたのか、あまりに膨大な負担の押し付けになってしまっていたのか、今になって考えさせられます。お店に行けば長居することも多かった自分。気さくに接してくれたけれど時間を奪う行為だったのも否めない。

 

黙ってたって進化する。決して歩みを止めない。福田さんはそういう方だと言えばそれも確か。でも、自身の命よりもお客さんの喜び、期待に対する責任の重さも病の中で抱えていたのだろうかと思うと非常に複雑。ジラウドさんに長く通った身。たった一人で黙々と作業されている姿を知っているだけに心苦しい。

 

素晴らしい楽器のみならず実に多くのことを教えてもらった20年。感謝の言葉を述べればキリがない。どれだけのものを頂いてきたか分かりません。しかしまだお礼を言いたい気分ではない。ご冥福をと簡単には口にできない。それを言ってしまうと終わってしまう気がする。まだ納得できないものがありすぎる。とても受け入れられないし整理も付かない。今はとにかく時間が欲しい。

 

まだまだお願いしたいことがあった。楽しみなものがあった。その期待が良くなかった面もあるのかもしれない。でもやっぱりそれだけ魅せられ引き寄せられる力があったのがジラウド。果てなき音の追求。そこに夢があったからこその底無しの魅力。その夢をもう見れなくなってしまうのかと認識しそうになると言葉にならない。

 

あそこまで心底命削って音楽・楽器に向き合うなんて自分には到底できません。情けないけどあそこまでの領域にはとても辿り着けそうもない。志高い決意表明もできない。けれど教えて頂いたことは血肉にしたい。もっとベースを好きになりもっと楽しんでいきたいとはせめて伝えたい。

 

時に背筋が凍るほど冷たく怒られもしました。怖い時は物凄く怖かった福田さん。良いことばかりではなかったのも事実。でも本当に楽しかったジラウドとの20年。何ものにも代え難い素晴らしい経験と思い出。偉大な方に出会えて良かったと胸を張り自慢します。

 

自分のこれからと一生、なんとか同じぐらいぶっとい音を出せるようになりたいですね。新しくベースをオーダーしようとした際、「もう良いの持ってるじゃん!それ使いなよ!」と断られたのを思い出します。すでに素晴らしい楽器は持っているのだから後は自分次第。ひたすら己を高めるしかない。

 

今後もジラウドベースと共に歩んでいきたい所存。

 

※拡散される方がいるとは思いませんが、もしその気持ちになった方がいらしたら出来ればご遠慮下さい。本当はあまり公開したくない話です。どうかよろしくお願いします。