ベースとグライコ そのすすめ
ART EQ351 31バンド グラフィックイコライザー
ARTのラックタイプのグライコを手に入れた際、真っ先に行った実験
動画自体は6年ぐらい前に撮ったものなのでさすがに詳細は覚えていませんが、ジラウドのスラップモードのような音をつくれないかと色々いじっていた記憶。
最初はプリスルーでほぼパッシブの音。
次にジラウドのスラッパーをON。
最後にグライコを通す流れで弾いています。
パライコではなくグライコが面白い
パラメトリックタイプだと任意のカーブがつくりづらい印象。
ピンポイントで削ったり足したりするには良いけど、31バンドを駆使した波形にするのは無理なんじゃないかと。
それこそ、ジラウドのプリアンプのようなものでないと実現は難しいでしょう。
特定のピークが出たり嫌な癖が出たりするのが苦手な身としてはやはり、グラフィックタイプを使った音づくりの方が感覚的にも自然で面白い。
もちろん、目的用途と好みによりますが、グライコを知らない人は実際に色々試してみると多くの発見が得られること間違いなし。
実はこんな遊べるものもありません。
イコライザーの効果を知るならちゃんとしたスピーカーを
ちなみに当時使っていたスピーカーは『Wharfedale』という会社のもの。
PA用でネオジウムの15インチウーハーとツイーターの組み合わせです。
手に入れたばかりなのとネオジウム製にありがちな特性か、重量が軽い一方、音もかなり軽いというのが難点でしたね。
ツイーターもちょっとパンチ不足と言うか、音抜けや音の飛び方が物足りない印象。
恐らく、もうちょい鳴らしてあげれば鳴り方もかなり変わったのだと想像しますが、その前にサーウィンベガの良い中古が出てしまった為、そこでお役御免。
「やっぱりベースにはガッシリしたものがいいなぁ」
という結論が出てしまったのがちょっと悲しいところ。
軽いことがメリットであるのは間違いないんだけれど、こういうイコライザーの遊びや実験をするならばやはり、どの周波数帯にも反応してくれた方が望ましい。
楽器を鳴らすにおいてはスペックとか数値上の問題ではなく、実際に機敏に変化してくれるかどうかが大事。
変化が微妙なアンプだとイコライザーの面白さも分かりません。
「そういう使い方をするものじゃない!」なんて言われても知ったこっちゃない。
ブーストする遊びもあるから良いんです。
堅苦しくお行儀よく、カットばかりじゃつまらない!
ジラウドの凄さを改めて知る
グライコについて話しておいてなんですが、補正や音色づくりに有効なのはともかく、タッチレスポンスや音の飛び出しについて優れているかは微妙なところ。
普通のベースに内蔵するものでもないし、操作が簡単とは言えないのも難点。
それゆえに馴染みが薄くなってしまう面もあるのでしょうね。
そう考えていくと、JFDTに代表されるジラウドのプリの凄さを改めて実感する次第。
2バンドどころかひとつのツマミでも絶妙な変化を実現できるのが素晴らしい。
グライコでいちいちやってたら気が遠くなるような音づくり。
それをいとも簡単にやってのけます。
本当にとんでもない楽器用プリアンプですねこれは。
前述の動画ではそれこそ、31バンドを駆使してセッティングしていますが、ジラウドのスラッパーで動かしたのはスラップモードへの切り替えとベースを全開にしただけ。
スイッチ一つとツマミ一個であの音になるのだから恐ろしい。
グライコで鍛える
いくらジラウド製品が優れていると言っても、そこにたどりつくまでの道のりと原点があるのは間違ないことでしょう。
なんのルーツもなく音が完成したなんてことはないはず。
これは自分も意外でしたが、ジラウドの福田さんは昔はMXRの10バンドイコライザーなどを使用していたらしく、それで音づくりしていたというのが興味深い。
現行品がどう違うのかまでは分かりませんが、実際、グライコが面白いのは間違いありません。
前述のスラップモードのサウンドなどは元々のレンジが広いからこそつくれるものであって、これでレンジの狭いベース、癖の強い楽器で同じセッティングにしたら酷いことになってしまいます。
自分の所有する楽器とシステムのレンジを知る意味でも、グライコは効果的ですね。
ないものは足せない、いくらブーストしても無駄なのが分かります。
音づくりに利用するのはもちろん、帯域に対する感覚を養う意味でもグライコは優れていますし、勘も養えるようになりますね。
プリアンプ探しとかエフェクターを使ってあれこれ悩むより、具体的に帯域を操作し音づくりを研究してみるのもおすすめ。
闇雲な音づくりから何かが変わる可能性も十分にあるでしょう。
いらない部分をカットすることを知るだけでも、一気に音づくりの幅と実用性が出てきます。