ベースと速弾き (9) ハンマリングとプリングについて

ハンマリングとプリング

 

速弾きにおいて左手の支配力がものを言うのは以前にも話した通り。

どんなに高速な右手を完成させようと、左手で積極的に音程を変えないことにはそれらしくはなってくれません。

 

極論、左手さえ速く動けば、それで十分に速弾きっぽくなるものだと思います。

 

そして、その左手が大活躍する奏法と言えるのが、ハンマリングとプリング。

これまた極論、ハンマリングとプリングを駆使していれば、右手で弾かなくても延々と音が出せます。

 

弦を押さえると同時に鳴らす、ハンマリングのテクニックと感覚。

これを身に付ければ、6連系の高速フレーズも簡単にできるようになります。

そこに加えてプリングで音を出せば、恐ろしいほどにスムーズに速く音を出すことが可能。

 

速弾きをしたいと思うのであればやはり、必須のテクニックと言えるでしょう。

 

ハンマリングのプリングの強化と高速化

 

とまぁ、言うのは簡単ですが、いざ実践するとなると大変なのは間違いありません。

多くの場合、そうそう速くは動いてくれないものだと想像します。

太くて張りの強いベース弦を左手だけで鳴らすというのは、並大抵のことではない。

 

ここで考えるのは(5)で話した内容にも近い指の動かし方。

これが非常に大切なポイントになってきます。

 

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弦楽器を弾こうとする場合、ついつい指先の方にばかり意識が行ってしまいがちですが、効率的に動かしたいのであれば、違う場所を動かすべきだと考えます。

 

要するに、指の第一関節や第二関節だけを動かそうと頑張っても無駄ということですね。

 

積極的に動かすべきは第三関節、拳や指の付け根の方と言いますか、そこを上手く使うことで強く速く動かせるようになってくるでしょう。

もっと言うならば、手の甲、手首、肘など、あらゆる箇所を意識、利用した方がいい。

 

必死に指先の方にばかり力を入れれば、それだけ緊張の原因にもなってしまいます。

 

また、最小動作の実現と効率化に気を取られてしまう場合、それだけハンマリング&プリング時のアタックも音量もしょぼくなってしまう可能性があるから難しい。

 

指の過剰なバタつきは良くないと思う一方、ただ綺麗であるだけのフォームを目指すというのもあまり意味を感じません。

 

指もフォームも固定しようと意識しすぎるほど動かなくなるのも確かな為、このあたりのバランスをどう取っていくかというのが、速弾きにおける重要なポイントと課題だと考える次第。

 

ついつい綺麗で無駄のない動きを求めてしまいがちですが、それが多大な負担の元に成り立つものなのであれば、正しい方向に進んでいるとは思えません。

実は理想とは程遠い何かを虚しく追いかけているだけということにもなってしまうでしょう。

 

動きの大きいハンマリングとプリング。

あえてこれを鍛えていく、遠慮なく使用していくのも一つの手だと言えます。

 

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右手とのバランスと音作りを考える

 

強力なハンマリングとプリングを実現したい一方、どうやっても不可能だと認識していることもあります。

 

『右手との音量差・音質の差』

 

これですね。

 

強力な右手のタッチと比較したら、アタックも音量も勝てるわけがありません。

どんなに左手を超絶鍛えたところで、まったく同じにはならないでしょう。

 

いくら速くても左手のレガートだけでは物足りなかったりするように、フルピッキングにはフルピッキングならではの魅力があるものです。

 

ここで考えるべきポイントは以下の二点。

 

・電気的な協力を得る

・タッチコントロールで揃える

 

これについて考えてみたいと思います。

 

電気的な協力を得る

 

ベースと言うとついつい、「原音重視!」とか「コンプは邪道!」みたいな意識にとらわれがちですが、それも一つには矛盾していると感じます。

 

どこまで行っても結局エレクトリック楽器なのであれば、その主張を高らかにするのもどうかと思うわけです。

 

「歪んだギターは邪道!」なんていう超今更な偏見と価値観を持つぐらい、意味のないこだわりな気がするかなと。

 

それで不要に苦労するぐらいだったらもう、素直に電気の力を借りるべき。

むしろ積極的に利用してこそのエレクトリックベースですね。

 

特に、轟音の中で左手だけで強力なサウンドを実現しようというのは、困難極まりない話です。

 

「アンプ直!」なんて意地を張って肝心の音に主張がなくなってしまうのであれば、そのこだわりの意味って何なのかと疑問になるところ。

 

どんな贅沢な木にこだわろうが、しょせんは電気楽器。

使えるものは何でも使うべきでしょう。

 

タッチコントロールで揃える

 

電気楽器と言えど、ほぼ何も通さずに済むならそれが一番なのも確か。

 

たとえばリチャード・ボナなどは、それを当たり前のように可能にするプレイヤーだと感じます。

エフェクターで遊びの要素を入れることも多々あるけれど、それが彼の本流ではないはず。

 

彼を見ていて思うのは、タッチが非常に軽いこと。

軽いと言ってもカス当たりで貧弱なのではなく、物凄く立ち上がりに優れていてハッキリと音を出すから驚かされます。

 

実際、目の前でベース1本でのプレイを体験したことがありますが、驚愕すべきタッチの持ち主でした。

 

ここで注目すべきなのは、そのライトタッチの存在かもしれません。

個人的な見解を述べますと、小さな音で鳴らしても良い音が出せる分、左手とのバランスが取りやすいことがあるのではないかと推測します。

 

右手が乱暴なタッチになる場合、それに応えられるぐらいに強力な左手も欲しくなるところですが、現実問題、これはけっこう大変な要求であると言えます。

前述の通り、完璧に揃えるのは不可能だと認識した方が話は早そうです。

 

一方、右手がソフトで良い音を出せるならば、それだけ左手も楽になってストレスもなく、音量も音質も粒も揃えることが容易になるんじゃないかと。

 

もちろん、非常に高度なレベルでのコントロールが求められることに違いはありません。

ソフト、ライトな弾き方で良い音を出すというのは、かなり困難な話です。

でもやはり、アンバランスな右手と合わせるよりも遥かに現実的に均一感を得ることが可能になるでしょう。

 

右手が乱暴すぎるから左手への負担になる。

右手が強すぎるから左手が弱く感じてしまうという、そのバランスを絶妙に詰めていくのがポイントですね。

 

左右のバランス、タイミング、コンビネーション、そのクオリティの向上が速弾きに欠かせないことを考える意味でも、ピアニッシモでも良い音を出せるようにするトレーニングは非常に効果的。

 

身体能力の強化向上と脱力の同時進行。

なかなか難しい問題ではありますが、速弾きというのはそれが強く求められる演奏方法と言えます。

ゆえに、良い音・太い音の追求、それとの両立も可能であると認識している次第。

 

フルピッキングも良いですが、ハンマリングとプリングを取り入れたフレーズを弾くこともおすすめ。

速弾きにおける話だけではなく、それでまた新たな表現力も手に入れられます。

 

無駄になることは一つもありません。