ベースと左手 (14) 握力を使うなら指は開かない

理想論・綺麗事だけでは通用しない

 

一連の流れでは「握力は使うな!」という旨の主張をしてきましたが、正直言うと、それを必要とすることがあるのも現実だと感じるところ。

 

たとえばの話、しっかり押弦してハードに刻みたいのであれば、綺麗で理想的なフォームもクソもなく、そのままガシッ!と握った方がやり方としては分かりやすかったりする。

 

特にストラップが低い場合などについては、「親指はネック裏に立てる!」とか「1フレット1フィンガー!」なんて律儀に守ってる方が負担になってしまうはず。

 

そんなこんな、今回は握力を有効活用することについて考えてみたいと思います。

 

まずは拳を強く握ってみる

 

とりあえず何も考えず、拳を思いっきり握ってみてください。

 

この際、指が開いてるとかワイドストレッチしてるとか、そんなことは有り得ません。

親指が外側を向いているなんてこともないでしょう。

 

当然、「それでどうやって強く握るんだよ!」って話になる。

 

でも、その有り得ないことをやってしまうのが、間違ったフィンガリングなんですよね。

指を思いっきり伸ばし、その状態で強く握ろうとか固定しようとするという、無茶苦茶な話。

 

そりゃ、腱鞘炎にもなるだろうし、スムーズな運指が実現できるわけもない。

 

どうしても握力を使いたい場面があるとか、それでより強い力を得たいということであれば、指を無理に開かずとも済む押弦方法を考えるべきでしょう。

 

3フレット4フィンガーではありませんが、ポジション移動の速度や精度の向上を心がければ、無理に指を開かずともフレーズは弾けるようになるはず。

 

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親指で力を逃がしていては意味が無い

 

ネック裏に親指を立てるフィンガリングというのが基本だと思う一方、この力の使い方にも実は疑問もあったりします。

 

確かに、指をより開くことやスムーズな押弦を考えれば、この方が奏法として自然で理にも適ったものになるでしょう。

ネックを握り込むようなスタイルと比較し、実に上級者っぽく見えるとも感じます。

 

ただ、前述の通り、変な握力の使い方をしていたり、無理なストレッチが常になっているようだと、メリットよりもリスクの方が増大してしまう印象。

 

また、極端な話、親指でネックを前に押し出そうとするような力の入れ方をしていたら、それだけ押弦のための圧力が逃げてしまうことにもなるわけです。

 

そして、それを他の4本の指で必死にカバーしようとするという、わけの分からないフィンガリングが身に付いてしまうことにもなる。

 

教則画像によくある、「これが正しいフィンガリングです!」みたいなやつって、大体このパターンになってる気がしますよね。

 

まぁほんと、「いやそれ明らかに無理してるでしょ!?プルプルしてるでしょ!?」みたいなストレッチをお手本とするのはどうなのかとツッコミたい次第。

 

あれでは強力な押弦にはならないし、長い目どころか短期間で怪我をすることにもなりかねない。

 

実際、それぐらい無茶なフィンガリングをして苦労している人が多いと感じます。

 

せっかく鍛えたのだったら有効活用する

 

「握力は使うな!」

 

という話を再びひっくり返すようではありますが、ネックを握るようなスタイルですでに強靭なフィンガリングを実現していたり、特に怪我もなくフレーズ的にも問題を感じないということであれば、変に器用になろうとする必要もないと思います。

 

それこそ、不自然なストレッチによるフィンガリングが癖になるぐらいだったら、「いかにネックを上手く強く握るか?」ということを意識した方が効率的かもしれません。

 

握力に頼らないと考える一方、握力の使い方を知らないのもどうかと思うわけですね。 

化け物みたいな握力が必要だとは言いませんが、力の使い方や力を入れる方向というのは絶対に意識した方がいい。

 

指を開いたり伸ばして握ろうとするからおかしなことになるわけで、「握力=絶対悪!」みたいに構えるのもちょっと違うかなと。

 

いずれにせよ、「なにも鍛える必要なんかない!」と考えるのは、ベースという楽器をは弾く上ではかなり厳しいのが現実でしょう。

 

どうしようもない癖が付いてて怪我をしたり、低い弦高でしか弾けないなんて人の場合、それぐらい極端に考えた方がフォームを作り直すには良いのかもしれません。

しかし、変にこじらせて「脱力=貧弱を目指す!」みたいな方向に行ったり、誤解をするのは反対です。

 

教科書通りが理想であるとか、そんな綺麗事だけでは済まない世界、自分なりに色々とハイブリッドな方法を見つけてこその楽器というもの、演奏というもの。

 

体自体も強いに越したことはないし、使えるものは何でも使うべきでしょう。