【EUB】 エレクトリックアップライト 選び方のポイント 楽器探しについて考える (4)

EUB選び 目次

 

 

まずは分類してみる

 

先日のフレットレス同様、種類を大まかに分けてみると、

 

・ウッドの代用、消音

・箱物スマート系

・スティックシェイプ

・スタンド固定タイプ

 

なんて感じになるかもしれません。

 

ウッドそのものの弾き心地を求めるか、そこにPUをのせた感じを求めるか、それとも新しい楽器として模索していくか、お手軽なのが欲しいか、そのあたりの好みと目的用途により、かなり話が変わってくるのではないかと思います。

 

ボディレスト・フレームがポイント

 

弾き心地に大きな影響を及ぼすこのパーツ。

 

正直言って、細く頼りないバーなどでフォームを安定させるというのは、けっこう無茶なことなんじゃないかと。

特に、初心者がそれで安定したピッチとサウンドを実現しようとしても、そうそう上手くはいかないものでしょう。

 

物によってはむしろ、ウッドを弾くよりも厳しいとすら言えるかもしれませんし、変なフォームで無理に弾き続ければ怪我をする可能性もあります。

 

また、左手ばかりが気になるところですが、実は右手のタッチの方にも大きな影響があるのが、このボディレスト・フレームのポイントではないかと感じます。

 

強いタッチで弾こうとする場合、しっかりしたフォームで固定できてないと色々まずい。

極端に表現するならば、弦を引っぱることで楽器自体が回転してしまうと言うか、それで左手により負担がかかったり音にも影響があったり、絶対に無視できない要素です。

 

エレクトリックベースの感覚で軽く指先だけで弾くような感じだと、アップライトならではの美味しさや重さがぜんぜん出ないものですし、当然、グルーブにもそれらしさが出てこなかったりする。

 

「箱物スマート系」とか「スティックシェイプ」なんて呼び方が的確かどうかはともかく、幅がせまく細く見えるようなタイプの場合、ボディレストのクオリティがいまいちなことが多いですね。

 

初心者がとっつきやすそうなものとか、シンプルで簡素なものほど、実は上級者の技が要求されるようにも思える為、お手軽に見えて実は要注意な存在ではないかと。

 

ヤマハかそれ以外

 

いきなり結論を出すようですが、自分が色々と弾いてみた印象、ヤマハの【SLBシリーズ】のフレームの完成度にかなうものは存在しなかったように感じます。

 

当然、出音にも鳴り方にも好みは分かれるとは思いますが、それも含めて一つの基準を作ってしまったと言うべきか、文句なしの実用性を持っているんじゃないかと。

 

言葉は悪いようですが、「道具」として非常に優れてるからこそ、それだけ強い武器にもなるはず。

豊富なデータ量と研究時間の成せる業か、その価格や在庫の豊富さといい、大手だから実現できた楽器と言えそうです。

 

・ウッドプレイヤーがライブ時に扱いやすい楽器として使うも良し

・サイレントベースという名のごとく練習に使うも良し

・初心者の入門用として考えるのも良し

・何かの為に保険として持っておくのも良し

 

一本持っておけばとりあえず困ることはないかもしれません。

 

YAMAHA 《ヤマハ》SLB200 w/Full Option

 

実際、『クリス・ミン・ドーキー』などはもはや、ヤマハのサイレントがメインにもなっているような感じを受けたり。

 

【SLB-200】ならケースも驚くほどにコンパクトですし、それだけでもどれだけ助かる話というものか。

 

EUBに手を出すのであれば、まずはヤマハを基準にして考えてみると分かりやすくなりそうです。

 

ただヤマハはちょっと味気ない

 

話が逆転するようですが、実用特化と言うか工業製品と言うか、そういった側面が強く出てもいるので、それを欠点と見ることもできるでしょう。

アコースティックな生音感などそういった味わいを求めると、かなり淡泊に感じる可能性がある。

 

フレームのクオリティを絶賛した一方、上記のように露骨に工業品的に見える部分もある為、そういうのが気になる人には逆にマイナスなポイントかもしれません。

 

また、優れたフレームとは言っても、別売りの延長フレームは必須だと思いますし、個人的には滑り止めも追加したいところ。

 

そのままだと意外と滑ったり安定感がなかったりするので、自分の場合、ホームセンターに売ってた車用の滑り止めなどを使用していました。

 

鳴り方についても、振動が柔らかく拡散していくようなニュアンスには乏しい印象であり、かなり直接的・大味・硬い感じかなと。

 

まぁ、だからこそジャズの4ビートやファンクなどでも使いやすかったり、歯切れ良いピチカートに対応できるのだと思いますが、それだけに好みが分かれそうです。

 

SLB-200を狙うならLTDがおすすめ

 

で、そういった声が多かったのか、淡白さの解消に乗り出したのか、SLB200にはトラ目ネック+真っ黒なエボニー指板のリミテッド仕様(LTD)もあるので、予算が許すならそちらをおすすめします。

 

実際、自分も持っていましたが、やっぱり、弾き心地がぜんぜん違うんですよね。

基本的にはSLB200と同じ為、音の傾向は一緒ではありますが、より生々しかったり味わい深さもあるのがLTD。

 

弓で弾いた際にも別物感がありますし、特にハイポジションにおけるアタックやサスティーンも明らかに異なる。

 

上を見れば100万円クラスの物もあるEUBの世界ですが、40万円するかしないかぐらいであれが手に入るってのは、ま~、本当に良い時代になったとしか言い様がありません。

 

限定仕様である為、物がない時は全然ないのが欠点ですが、それでもやはり、「悩んだらこれ!」って言える楽器ですね。

 

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箱物も良いけどしょせんは電気楽器

 

すでにウッドを弾いてるとか、将来的にはウッドに移行したいとか、そう考えているのであれば、上記のようにヤマハかまたは【Alter Ego】などが良さそうですが、良くも悪くも、この辺は「サイレント楽器」という面が強いものかもしれません。

 

そういう意味では【Landscape】などに惹かれたりもしますし、納浩一さんの影響もあってか、知名度もかなり上がったんじゃないかと感じます。

 

やっぱり、ああいうルックスには痺れるものがありますよね。

 

ただ、このランドスケープ、見た目には完全アコースティックなようでも、メインになるPUがマグネットである為か、意外とエレクトリックな音色とニュアンスである感じが強かったり。

 

ギターで言えば、ギブソンの335みたいなものですかね?

あれも生音でズドーン!って音量を期待するものではないでしょう。

そう考えると、セミアコって完全にエレクトリック楽器と言えるんじゃないかと。

 

ランドスケープの場合、フィッシュマン製のピエゾも搭載してはいますが、それだけだとカリカリ感と言うかシャリシャリ感と言うか、いかにもな音になってしまう為、やはり、マグネットの方とブレンドせざるを得ない印象。

 

それをウッドとは異なる新しいサウンドと肯定するか、中途半端な存在と認識するか、これまた本当に好みが分かれそうなところです。

 

生音を求めるとリスクも上がる

 

ランドスケープのようなシェイプよりもさらにウッドそのまま言うか、単純にダウンサイジングした感じなものも存在します。

 

老舗である【Oriente】などは、「ミニコントラバス」というそのものずばりな楽器を出していたり、そういった「小型ウッド」という感じのものを探すと意外とあったり。

 

ただ、アコースティックになればなるほど、ハウリングなどのリスクを抱えてしまうことも意味していますし、重量も可搬性もそんなにウッドと変わらなくなってしまう可能性も高くなる。

 

前述のランドスケープなどもそうですが、そこまで軽いわけではないし、ケースも決して小さいわけではないですからね。

 

本物のあの存在感とサウンドに強い憧れがあったり、もうそれに完全に慣れているなんてことであれば、絶対に物足りなさが出てきてしまうのではないかと想像します。

 

ウッドとはまた一味違ったニュアンスやプレイアビリティを求めるなんてことでもない限り、EUBとしてはちょっとポジションが難しい楽器になってしまうかも?

 

オリエントのミニコントラバスは個人的にちょっと欲しい楽器だったりもしますが、正直言って、「それならいっそ・・!」と高確率でなる気がする次第。

 

スタンド固定タイプは新たな楽器

 

なんともスタインバーガーらしいと言うべきか、【NS Design】のアップライトは非常に革新的な楽器だと思います。

 

楽器本体だけを見ると、前述のスティックシェイプかさらにそれよりもスマートでシンプルに感じますが、それをスタンドで固定して使用するのがユニークなポイント。

 

通常のエレクトリックベースのプレイヤーでも驚くほどスムーズに弾けたりしますし、ハウリングなどの心配に悩まされることなども、恐らくは皆無なんじゃないかと想像します。

 

まぁ、それゆえに、ウッドとは完全なる別物と考えた方が良い気はしますし、パーフェクトなアコースティック感などは求めない方が正解でしょう。

 

ある意味、これこそまさに「エレクトリックアップライトベース』と呼ぶべき新たな種類の楽器と言えるんじゃないかと。

 

5弦なども普通にあったり、個人的にはハイC弦を張って弓で弾いてみたいところ。

 

最強小型軽量はKYDD

 

スタンド固定タイプと言えば、【KYDD】なんかもユニークな存在です。

 

34インチどころか、30インチというショートスケールタイプのものまであったりしますし、しかもヘッドレスと来ました。

 

外観はほんと、ネックがあるだけって感じにも見えます。

でも、これが不思議なもので、何故だかそれっぽい音になったりもするんですよね。

 

実際にライブで使ってるのを見たことがありますが、持ち替えて使ってたジャズベースよりも太く沈みこむ音を出していてビックリ。

いくらセッティング次第とは言え、あの見た目からこんな音が出るのか驚かされました。

 

有名所だと、ジョージ・ベンソンのバックで弾いてる『スタンリー・バンクス』などもライブで使用していましたし、侮れないポテンシャルを持っているようです。

 

「六本木の仕事にスクーターで通えます!」って売り文句も面白いですよね。

 

実はちょっと欲しかったりもします。

 

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まとめ・懺悔・雑談

 

長々と書いてますが、白状すると、もうアップライトは一本も持っていない身だったりします。

ウッドとEUBと両方共に手放し、今はエレクトリックベースの方に専念することを決めました。

 

体調の問題もあったり、アップライトを弾いていると指の皮膚の出来上がりがどうにも気に入らなくなったり、色々と事情があって弾くのを断念してしまった次第。

 

まぁほんと、それぐらい敷居の高い楽器ではないかと思いますし、挫折しようとすればいとも簡単に挫折する気がしますね。

 

スティックシェイプの安物なんかも持っていたことはあるけれど、あれはほんと、初心者にはかえって優しくない楽器だったように感じます。

 

その点、ヤマハのSLB-200 LTDは安定感抜群でしたし、弾いててかえって疲れなかったので、このあたりのバランスって本当に難しいものだと痛感。

 

ボディフレームのクオリティはもちろん、ネックの仕込み角の問題も大きそうですし、EUB選びの大きなポイントになるんじゃないかと。

 

そのまま「ストン!」と垂直に落ちるようにネックに角度のないものは弾いてて辛いです。

鳴り方についてもそうですが、ハイポジションの弾き心地などもかなり変わってしまう印象ですし、弓で弾くにもかなり影響があるものだと思います。

 

ランドスケープなどについては、ネックの仕込み角を変更した【SWB Master】というモデルを後から出したり、やはり、かなり重要なポイントと言えるのではないでしょうか。

 

このあたり、本職で作ってる人間はさすがによく分かっているのか、一見はスティックシェイプに見えるような【Vektor】なんてEUBなどは、そのルックスに反してすごく本格的な音が出るのでビックリ。

 

形が形なので、ボディレストがちょっと寂しい印象も強かったですが、それにしても、あんな形状からよくあんな音が出るものだと感心します。

 

その分、お値段も相当なものなんですが、あれはなかなか面白い存在ですね。

 

一方、仕込み角とかそういう問題ではなく、スタンドの調整で好きなようなポジションを作れてしまうという、NSの存在はやはり画期的だと感じるところ。

 

弦高も標準でかなり低かったりしますし、フレットレスの延長で使えそうなお手軽感があります

 

ヤマハをおすすめはしますが、デフォルトだと正直、弦高がかなり高かったり、弾きづらい印象も強いんですよね。

 

「ちゃんと習って基礎もバッチリ!」なんて人なら特に問題はないのかもしれませんが、そこまでする気がなかった素人にあれはきつい。

 

仕方ないので、自分でナットの溝を掘ったり、駒も削ったり、それで弦高を下げて弾きやすくしましたが、そういう作業に慣れていない人の場合、信頼できるお店にセットアップを任せた方が絶対に良いでしょう。

 

ま~、なんと言うか、ヤマハのサイレント楽器の登場で一つの基準が出来上がったとは思う一方、それがエレクトリックの人間にもそのまま馴染むかと言うと、ちょっと違う気はしますよね。

 

ましてや、それでNSとかKYDDのような楽器を見下しちゃうのは絶対に違う。

かと言って、それらに強い憧れを抱くか、心から満足できるのかと問われると、それもまたちょっと微妙なところなのかもしれない。

 

「縦に弾いてる姿だけあればとりあえずいい!」ってのも、ちょっと寂しい割り切り方ですしね。

 

結局、ウッドを弾いてしまうのが一番納得がいく気もしますし、この分野はそのあたりの好みと実用性、バランスの塩梅が実に複雑で難しい。

 

・ウッドそのものを弾いてしまうか?

・ウッドの代用品を求めるか?

・新しい楽器を求めるか?

・エレクトリックの延長のように弾きたいか?

 

先日のフレットレスの話と同様、一本ですべてを解決というのは不可能かもしれません。

 

そういう意味では、両極端から試すってことで、ヤマハかNSを弾いてみると面白いでしょう。

EUBのワールドスタンダードと言えそうなのがこの2つではないかと思いますし、実用性にも間違いないはず。

 

数多くのプロが使ってるというだけでなく、様々な方面から評価が高い、優秀な道具を求めるのがまずは正解のように思えます。

 

シェイプも方向性もバラバラでよく分からない世界ってのが正直な印象なので、初心者であっても恥を恐れずいろいろ弾き倒してみるのがおすすめですね。

 

その結果、自分はヤマハに落ち着いた次第。

良いところも悪いところも「さすがヤマハ!」って感じです。