6弦ベース 選び方のポイント 楽器探しについて考える (1)

6弦ベース選び 目次

 

 

値段やスペックはあてにしない

 

合わないものは合わないし、どうやってもしっくりこないものはしっくりきません。

今回の話の全てをいきなり全否定するようですが、直感ってのはやっぱり大事です。

 

「このスペックで悪いはずがない!」

「この値段なんだから!」

 

とか、そういうのは関係ないでしょう。

 

楽器オタクな場合、どうしてもあれこれ考えちゃったりするものなので、出来れば先入観も偏見もなく、「ズドン!」と来るものを見つけられればと思うところ。

 

まぁ、一時の気分なんてすぐに変わるのも確かなので、衝動に任せるのも怖いっちゃ怖いんですが、しかし、あれこれと自分に嘘をつきながら弾くよりは良いんじゃないかと。

 

それが駄目だったら、何が合わなかったのかを分析してまた次に進めばよい。

自分の好みをはっきりさせるというのも、楽器選びの大きなポイントですね。

 

たとえばジョン・マイアング

 

ドリームシアターのジョン・マイアング。

6弦を使うのであれば、もはや知らない人はいないんじゃないかって気がするこの御方。

 

初期の頃はトバイアスやタングの6弦を使用していたようですが、そこからヤマハと契約し、オリジナルモデルに。

そして、ヤマハの中でもミュージックマンタイプのようなベースを新たに作り、最終的には本家ミュージックマンに落ち着いた様子。

 

高級志向や綺麗な路線ではなく、もっとシンプルな方向だったり、パーカッシブで激しいアタックにも応えてくれるような、そんなロックな仕様の6弦に徐々に落ち着いていったように感じます。

 

この「ロックな6弦」ってやつが意外と存在しないのが現実なので、選択肢が実は限られてきたり、特有のノリを求めるのが難しくなるんですよね。

 

やはり、「高いから!」とか「スペックが凄い!」とか、そういった楽器選びをするのではなく、自分に合う・特化した楽器を選ぶべきではないかと。

 

もしくは、まだまだそういった好みが出来上がってないということだったら、多くのミュージシャン、バンドでよく使われているものを選んだ方が無難かもしれません。

 

フェンダーよろしく、アンサンブルで評価の高い楽器を選べば、そこまで失敗することはないはず。

 

マイアングもこのあたりの実用性にかなりこだわりがあるようで、ちゃんとした実績のある楽器に惹かれる傾向があると話している様子。

 

4弦時代だと、ジャズベースやスティングレイ、スペクターなども使用していたようですし、確かにあまり無茶な楽器選びはしないイメージですね。

 

軽い個体を選ぶ

 

音が良いかどうかよりまず気になるのが重量。

ここで失敗すると最悪です。

 

17~18歳頃の話ですが、自分が最初に購入した6弦は重さ6kg。

こいつには本当に酷い目に遭いました。

 

ケースとケーブルとチューナー、それだけでも合計で10kg超えたりしますし、移動するだけでも問答無用で消耗します。

その歳で肩こりと腰痛との闘いを発症するはめになってしまった為、何の未練もなく手放すことに。

 

他にも、5kgオーバーの6弦を数本所有したことがありますが、これも長時間の演奏になると辛くて仕方ない。

 

重い楽器というのは、座って弾くにも歓迎したくないものですし、単純に体に悪い。

 

それに懲り、4kg前半で済む6弦を買うようになりましたが、ま~ほんと、こんなに楽になるものかと驚きましたね。

 

それで音が悪いかと言うとそうではなく、むしろ遥かに良い感じ。

やたら硬質だったり変に凝った木材を使おうとするほど、音はおかしくなる傾向がある。

 

「ベースは重くなきゃ駄目だろ!」

 

そんな先入観や価値観はほとんど役に立ちませんでした。

 

【スポンサーリンク】

 

 

ボディ材はシンプルに

 

上記の話と繋がりますが、異なる木材を多用したり多重構造になっているようなものには気を付けた方がいい印象。

 

多弦になるとつい凝ったものが欲しくなりがちですが、楽器が大型化するのと鳴り方が複雑になる分、逆にシンプルにまとめた方が正解のように思えます。

 

複雑な構造を求めたり、それで成功させるんだったら、そういうノウハウがちゃんとある工房を選んだ方が良いですね。

 

大体の場合、弾き手の事より自社の個性主張に躍起になったり、木工自慢に必死になったり、実用性には乏しくなっていく傾向を感じます。

 

豪華なトップ材などをアピールする物にも要注意ですし、音的に良い結果になることはほとんどないんじゃないかと。

 

偏見たっぷりに言うのであれば、接着剤を駆使した楽器の何が豪華なのか、疑問になる次第。

 

ちなみにスルーネックも苦手。

硬く重い木材がボディのメインを占めるようになってしまうのは勘弁です。

 

ボディシェイプに気を付ける

 

ボディバランスの悪さは多弦にとって致命傷にもなりかねません。

 

1フレットがやたら遠く感じるようなものは、それだけでアウトな印象。

つまり、低音弦側のボディホーンが短いものには要注意。

 

軽量化や利便性を図るのは分かりますが、無闇にボディをコンパクトにしたって上手くはいかない。

逆に扱いづらかったりしますし、それでフォームが安定しなかったり疲れてしまうのでは本末転倒。

 

後、ハイポジションの演奏性を重視するあまり、ジョイントを削りまくったり貧弱にするのにも気を付けた方がよいですね。

 

低音はPUとプリアンプ任せ、アンサンブルでは使い物にならないって音になりがちです。

 

ヘッドデザインに気を付ける

 

今時はそんなに変なものはないと思いますが、ローB弦を張るのにナットからペグまでの距離が近いようなのがあったら、それは注意かもしれません。

 

すべての弦をスムーズに無理なく張れた方が無難ではないかと。

 

コンパクトにする為に無理が生じたり、やたらと大型化してるのも考え物。

スタンダードに3対3のペグ配置にして、自然にまとめるのが望ましい印象。

 

ネックも指板も無難に

 

これまたついつい、スペシャルな材やら仕様を求めがちになってしまうところですが、ここを失敗すると本当にどうにもならなくなります。

 

とにかくコンディションの維持が命になる多弦の世界。

年がら年中、ぐにゃぐにゃ動いていたのでは使い物になりません。

同じメイプルでも超トラ目材とかは要警戒。

 

ダブルトラスロッドなんて仕様もありますが、根本的に材が落ち着いてないのでは意味がない。

調整も難しそうですし、単純に重くなりそうだし、あまり歓迎したくない方法です。

 

後、これは自分の好みの話ですが、やたらと高域が繊細になったり、帯域によってレスポンスが大きく異なってしまうようなアンバランスなものってのが苦手だったり。

 

定番になる材にはやはり、それだけの意味があると痛感する次第。

音的にもコンディション的にも、無謀な冒険をするのはおすすめできません。

 

それと同様、極端な薄型や分厚すぎるネック、根拠のない特殊な形状は避けたいところ。

 

表面的な演奏性、高音域やハイポジションでの煌びやかさばかりを求めると、『ベース』としては高確率で失敗する印象。

 

スケールは34インチを基本に

 

当たり前の話っちゃそうなんですが、基本的には34で完成されてることが望ましい。

無理に伸ばす必要はないし、長くしたからと良いものができるとは限らない。

 

そして個人的に嫌なのは、特殊な弦が必要になるパターンですね。

選択肢が減ったり、入手が面倒だったり、そういうのは勘弁です。

 

今時はネットで何でも簡単に手に入りますから、そこまでの心配は要らないのも確かなんですが、何かトラブルがあった時に対応する弦がないってんじゃ困ります。

 

まぁ、そのトラブルにも常日頃から備えておけばいいって話ではあるけれど、いずれにせよ、入手が容易だったり無難に済ませられるに越したことはありません。

 

【スポンサーリンク】

 

 

スラップはあきらめる

 

ちょっと極論・暴論なようですが、誤解を承知で言うならば、6弦に良いスラップサウンドを求めるのはやめた方が無難かなと。

 

24フレットのものが9割以上を占めるであろう6弦の世界。

その時点で4弦のジャズベのようなスラップサウンドを求めるのは酷というもの。

 

高域特性の悪いPUも非常に多いですし、個性の主張や無理な構造があだになり、PU位置も変なものが多い。

 

そこをちゃんと計算して作ってる良いものは本当に僅か。

あれもこれもと寄せ集めているような仕様や方向には注意が必要です。

 

大体の傾向としてモサく鈍臭いものが多かったり、スラップサウンドが気持ち良くないものばかりなのが多弦世界の悲しい現実。

 

PU位置に気を付ける

 

上記の話と同じく、おかしなPUの配置は間違いなく音もおかしくなります。

 

特に2PUの場合、干渉による音痩せが酷くなることが考えられる。

そのミックスサウンドを完璧にイメージして独自に作ってるような工房はほぼ存在していない印象。

 

たとえばフォデラやF-BASSなどに関しては、フェンダーのPU位置から崩すことをあまり良しとしてないんじゃないかと想像。

 

MTDやヤマハなど多弦の定番にしても、そこまでフェンダーから大きく離れてはいない位置に設定してると感じます。

 

ケン・スミスのような存在などは、フェンダーからは完璧に離れたところで自社の楽器を完成させているように思いますが、あれはやはり、それだけの確固たるコンセプトやノウハウがあるからこそ出来ることではないかと。

 

一方、何の計算も音のイメージもなく作ってるようなものには、やはり注意が必要です。

残念ながら、プリアンプによる後付けなどでどうにかなるって甘い話ではないでしょう。

 

謎の工房・高すぎる楽器はとりあえずスルー 

 

「誰も使ってない!珍しい!」なんて理由で飛びつくと酷い目に遭う可能性も高いです。

ここまで話してきた通り、高いから良いわけではないから楽器選びは難しい。

 

また、「全ての工程を一人でこなす!」なんて言うと、凄く良いものに聞こえそうですが、それだけ手間もコストもかかることを意味していると考えると、無駄に高価になってしまう可能性も十分ありえる話。

  

独自のこだわりを持つのはいいけど、

 

・木材の選択に何も根拠がない

・ルックス重視でバランスはめちゃくちゃ

ボディが体に全然フィットしない

・ネックはぐにゃぐにゃシェイプもいい加減

・PUの位置はテキトー

・実は音に自信が無いからプリアンプを使用

 

など、こういった事態になってしまうのは勘弁な話。

ハンドメイドだのオリジナルだの言っても、ただ無闇に高いだけでは何の価値もありません。

 

「高い楽器ってすげぇんだろうな!」みたいなのは捨てた方が良いでしょう。

 

これは本当に注意なポイントですし、良心的な価格で頑張ってるところに気付けなくなってしまう可能性もあります。

 

信頼できる店で買う

 

当然の話のようですが、これは本当に大事。

多弦に対する理解がなかったり、扱いが分かってない店で買うのはやめた方が無難でしょう。

 

輸入楽器については、代理店の対応がはっきりしないとか扱いがいい加減とか、そんなところに当たると酷い目に遭うかもしれません。

 

自分達ではまったく対応できず、いちいち製造元に送るなんてことだと面倒で仕方ない。

いくら適材適所で任せるのが良いとは言え、ちょっとしたことにも時間がかかりすぎるなんてのは勘弁な話です。

 

弦高の調性もネックの調整もロクにできないとか、吊るしたまま何もせず放置なんてのは論外ではないかと。

 

オークションで買うのとリスクが大差ないとか、それでは楽器店である意味も価値もありません。

 

まとめ・雑談

 

6弦も今では様々な選択肢がありますし、そこまで珍しくもない楽器になってきたと感じます。

 

ただ、依然として、複雑で凝ったものになってしまう傾向がある為、そこをもうちょっと何とかしてほしいものだなと。

 

個人的には、ジラウドから出てくれればそれで言うこと無しなんですが、それ以外を求めるのであれば、ヤマハあたりがパッシブで素直なやつを出してくれれば良いのにと思うところ。

 

・基本はTRB

・34インチスケール

・欲を言えば21フレット

・ライトアッシュボディ

・メイプルネック+ローズ指板orエボニー指板

・シングルコイルサイズのPU

・パッシブ

 

って感じに、ごくスタンダードな一本があればいいんですけどね。

6弦の世界ってこういうのがなかなか無いから残念です。

 

どうもこう、これもある意味では偏見と言うか、「6弦は複雑!」とか「テクニカルで特別でなければいけない!」みたいなイメージが、弾き手にも作り手にも存在する気がしてなりません。

 

それこそ、前述のマイアングの話ではありませんが、「もっとシンプルでロックなのが欲しい」ってコンセプトで出したら、それが唯一無二の存在みたいになってしまったりもするわけです。

 

芸術的な要素とかを削った方がむしろ個性的になったりもするのだから、何とも皮肉な話。

 

かと言って、フェンダーそのままの拡張だと、デザイン的にちょっと難しいところがありますし、6弦ならではの面白味もちょっと薄くなってしまう。

 

そのあたりのバランスをよく理解し、多弦ならではの利点と欠点を理解している楽器というのが、評価が高くなる傾向があると感じます。

 

まぁ、これは6弦に限った話ではありませんが、要するに、「研究しているところはやっぱり違う」ってことなんでしょうね。

 

思いつきでいいかげんにテキトーに作ってるようなものは、遅かれ早かれ、淘汰されてしまう運命なのかもしれません。

 

楽器として美しいか、音色が素晴らしいかはひとまず置いて、

 

「道具として優れているかどうか?」

 

これを見極めることが重要なポイントになりそうです。

 

高級な材やパーツを使用しないと良い音が出ないなんてのは、設計自体に問題があるとも考えられるわけです。

芸術品のような方向に行くのではなく、もっと味気ないぐらいに道具としての機能を追及してきたものが出てきてくれると面白いですね。

 

今日のフェンダーのような存在が多弦界にも現れてくれないものか、そこに期待する次第。