タッチスピードについて考える 縦振動のタッチ (7)

タッチスピードって速弾きのこと?

 

良い音を出すにはタッチスピードが重要と先日話しましたが、ちょっと誤解をまねく言葉のように思えるところ。

 

これは「速弾きが出来なければいけない!」という類の意味ではないです。

 

どんなに速く弾けたとしても、タッチスピードの問題はまた別のものかもしれません。

 

速弾きの話と絡めたために少々ややこしくなってしまいましたが、指先のヘッドスピードとでも言った方がよいか、弦から指が離れる速度とでも言えばいいのか、なかなか表現が難しいところです。

 

自分のイメージが勝手につくった言葉のような気もしますが、いずれにせよ、速弾きとは分けて考えた方がよいでしょう。

 

なぜスピードが必要になるのか?

 

とりあえず、弓矢をイメージしてみるとニュアンスが分かりやすそうです。

 

・矢を真っ直ぐ飛ばしたいのに変な方向に引っ張る人はいない

・放つ瞬間に妙な癖があったり方向がブレたりするのも良くない

 

力を入れるタイミング・抜くタイミングがおかしいのは致命的なことであり、やはり、矢を放つその瞬間が大事になるのでしょう。

 

もちろん、そこに到るまでの過程も大切であり、それが良い結果を生むのだとも想像します。

 

でも、どんなに理想的に綺麗に見えるようでも、最後の最後でヘナヘナになってしまっては、すべてが台無しになってしまうはず。

 

弦を振動させるとはどんなことか?

 

弦振動は言ってしまえば、人の手によって弦が元の位置から強制的にずらされそこから戻ろうとする運動なのではないかと思います。

 

当然のことながら、そのまま放っておいて弦が激しく振動することはないし、なんの作用もなく勝手に永遠に振動し続けるなんてこともありえません。

 

その元の位置に戻ろうとする弦の初動と軌道が大事と言うか、そこで良い結果を生むためにタッチスピードが必要になるんじゃないかと感じます。

 

矢を射るのに指の動きがもたついてたり引っかかっていては論外だし、肝心の放つ瞬間がぬる~っとゆっくりしてるなんてこともないような?

 

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どんなイメージで弾くべきか?

 

どこぞの野球監督ではありませんが「グ~ッと来てパッ!」なイメージかなと。

 

縦振動においてはまず、弦を綺麗に垂直に押し込むことが第一になりますし、そこからいかに何の癖もなくそのまま弦が元の位置に戻ってくるようにするか、それが最重要な印象。

 

どんなに綺麗に押し込めたとしても、その先に勝負が待っているわけですね。

 

指の抜き方が悪かったり、指がいつまでも残ってしまったり、もたついて弦から離れなかったり、それでは肝心のスピードを出せずに余計な軌道を描く結果にもなってしまいますし、弦が不要に暴れてしまう原因にもなります。

 

よりスピードを得ようと弦が不自然にたわんでしまうほどに力を入れても良い結果にはならない。

フレットが障害物のようにぶつかり振動のブレーキになってもいけません。

 

弦の初動の水平運動をいかに綺麗にするか、瞬発力を持たせるか、それが鍵になるんじゃないかと自分は感じるところです。

 

タッチスピードを上げるのは難しい

 

しかし、これを高めていかない限りは、縦振動を実現・実感することもできない。

また、縦振動に限らずともタッチスピードに難があるのでは、力強く瞬発力のある音を得ることは難しい。

 

やはりと言うか、指弾きで物凄く立ち上がりも歯切れも良く弾くというのは相当に困難な印象。

しかも、それを太く重い音で実現するとなると、余計に道は遠くなるように感じます。

 

一音だけに集中して出すのであればまぁ、弓矢のようにじっくり構えることもできそうですが、実際の演奏の場ではそれが許されないことの方が圧倒的に多い。

 

と言うか、ほとんどではないかと。

 

細かい刻みが要求される場面などにおいて、一音一音をいちいち溜めて集中して弾いてなんて暇なんてありません。

 

本当に瞬間的に合理的に指を動かさねばならないし、 弦を押し込むのと指を抜くのと同時にやらなければいけないってのが現実かなと。

 

しかしま~、その両立が本当に難しい。

高レベルで実現するのは恐ろしいほどに困難なことだと思い知らされます。

 

高速なタッチを勘違いした人の中には、ただ弦をこするように弾くだけなんてこともあったそうな。

当然ながら、それでは弦は振動してくれませんし、振動方向以前の問題になってしまうでしょう。

 

力任せに弾くべきではない

 

タッチスピードを得る為、不自然に窮屈なフォームにすることなんかもよくある話なんですが、これは怪我の元になるのでやめた方がよいでしょう。

 

まぁ、完全に自分の失敗談なんですが、未だにその癖が残ってしまっている気がするところ。

 

スピードを出すためにやたらと力んだり、手首をガチガチに固定しようとしたり、力で縦振動を実現しようという、明らかにまずいパターンですね。

 

それでも一応、鍛えていけば限定的に良い音を出せるようにもなるかもしれませんが、そのまま長時間演奏したり、疲労もせずに弾き続けることは無理。

 

やはり、脱力して自然に弾けることが望ましいですし、その方が応用力も表現力も豊かになるはず。

 

理想としては

 

ピアニッシモでも充実した良い音を出せるようになることが望ましいでしょう。

これを高レベルで実現できるのであれば、自由自在なタッチを身に付けていることになると思います。

 

しかしまぁ、自分もまだとても辿り着けない領域であり、本当に先は長いと感じます。

 

大きな音で迫力を演出したり、強力なアタックを出して主張することなどはある意味簡単。

一方、小さな音量で濃密なサウンドを実現することは困難きわまりない。

 

どうすればそのスピードとタイミングを掴むことができるのか?

まだまだ今後もずっと研究を続けていきたい次第。